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【特別対談】アクセラレータープログラム『B-SKET』に懸ける想い

これまでに過去4回に渡り開催してきたアクセラレータープログラム「B-SKET」。そのプログラムの総監修を務め「起業の科学」「起業大全」著者 田所氏と、B-SKET主催企業である株式会社ベーシック 代表取締役 秋山による対談模様をお届けいたします。


株式会社ユニコーンファーム CEO
関西学院大学経営戦略大学院 客員教授
田所 雅之

これまで日本で4社、シリコンバレーで1社起業をした連続起業家。2017年発売以降115週連続でAmazon経営書売上1位になった「起業の科学 スタートアップサイエンス」、及び「御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学」 「起業大全」の著者。2014年から2017年までシリコンバレーのVCのパートナーとしてグローバルの投資を行う。現在はスタートアップ経営や大企業のイノベーションを支援するUnicorn FarmのCEOを務める。

年間の講演回数は160回(2019年実績)。新規事業アドバイス/メンタリングは600回(2019年実績)。内閣府タスクフォース(価値デザイン社会審議会)メンバー、経産省主催STS(シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援)の協議会メンバー、経産省主催TCP(ベンチャー支援プログラム)のメンター/審査員などを歴任。

株式会社ベーシック 代表取締役
秋山 勝

高校卒業後、企画営業職として商社に入社。1997年、グッドウィルコミュニケーション入社。物流倉庫の立ち上げやEC事業のサービス企画を担当。2001年、トランス・コスモスに入社し、Webマーケティング関連の新規事業など数々の事業企画を手がける。2004年、ベーシックを創業。「問題解決の集団として、情熱を妨げる世の中のあらゆる問題解決をやり抜き、多種多様な企業が強みに集中できる世界を創造する」をミッションに、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」のSaaS事業と国内最大級のWebマーケティングメディア「ferret」や「フランチャイズ比較ネット」などのメディア事業を展開。

事業成長に必要なのは素直さ、執着心、信念

秋山:第一回目となるB-SKETを2年半前に初めて開催し、これまで4回行ってきましたが、振り返ってみていかがですか?


田所氏:提供しているプログラムが日に日に成長してる実感がありますね。回を重ねるごとに、スタートアップの事業成長に必要な要素を包括的に提供できるようになってきている気がします。

プログラム期間中はスタートアップに成長を求め続けているので、その状況で自分たちが成長しないことは許されないという緊張感もあり、むしろ成長させてもらっていますね。

あとは、スタートアップの様子を見て、「ここは伸びそう」「ここは厳しいかもな」というのがわかるようになってきました。B-SKETに参加しているスタートアップとは毎週のようにメンタリングや対話をしているので、共通項が見えてきましたね。


秋山:ちなみにそれはどんな共通項ですか?


田所氏:一つは単純に”伝えたことをきっちりやるかどうか”ですね。どんなことでも一回騙されたと思ってやってみることができる企業は伸びていますね。


秋山:いわゆる素直さですね。アドバイスに対して斜に構えて、「どうせ理屈だろ」と捉えてしまうケースがありますが、本当にもったいないなと僕も思います。


田所氏:まさに素直さです。もう一つ共通項を挙げるとするなら、"強烈な執着心と信念を持っているか"です。事業計画や0から1でプロダクトを生み出す段階では経営者の個人の経験に基づき、前進することができ「これいけるかも!」とテンションが高くなる場面が多くなります。

ですが、プロダクトマーケットフィット(以下、PMF)させるのはそんな簡単なものではなく、事業をやり続けるとなるとすごい地道な作業やタスクが多くなってきます。さらにそれを地道に分析したり、プロダクトデザインを変えるなど、細かくPDCAを回し続けることが大事になってくるので、執着心と信念を持ってメンバーやプロダクトを見ていけるかどうかが事業成長に大きく影響するなと思っています。


秋山:確かに執着心と信念は大事ですね。僕がB-SKETをやってきて思うのは、事業成長に必要なロジックや考え方を教えることはできるけれども、事業が伸びるかどうかはビジネスの筋がどれだけ良いかに左右されるなということですね。シード期とはよく言ったもので、立派な添え木があったとしても、種自体がしっかり育つものでなければ、育たないなというのを感じました。

もう一つ、B-SKETを通して思ったことはどういう人たちと一緒に事業をやっていくのかで、レバレッジのかかり方が大きく変わということですね。


田所氏:人が事業にもたらす影響は大きいですよね。

良い問いが良い答えを生み出す

秋山:田所さんはプログラムを提供する中で大事にしていることはあるんですか?


田所氏:気づきをどれだけ与えられるのかが大事だと思っているので、そこは意識していますね。なので、基本的には問い続けるスタイルでメンタリングは行っています。安易に答えを提供しても、長い目で見たときには成長に繋がらないですし。


秋山:一定のメソッドはあったとしても答えなんて存在しないですしね。


田所氏:そうです。なので考え方を知ってもらうために問いを投げ続けるということは徹底しています。


秋山:それすごく良いですよね。マネジメントの真髄は問うことだと思っています。それができずに「これをしろ。あれをしろ。」と言っても、自分が望んでいる答えが出てこないとそうじゃないと言ってしまう。そうすると人は反発したくなってしまうんですよね。自立した組織になるためにも、”問う”ことは重要ですよね。

良い問いが良い答えを生み出すとよくいいますが、田所さんの問いもB-SKETの開催を重ねるごとに洗練されているのではないでしょうか。実際第4回目のB-SKETプログラムを受けていたbattonの川人さんはたった一言で衝撃を受けたと言っていましたし、それは問いじゃないと気づけないことだなと思うんですよね。


田所氏:僕がそのときに聞いたのは、「顧客は誰で、顧客はどんな課題を持っていて、どういった成功を顧客にもたらしたいですか」ということですね。大事なのは事業やソリューションがどうかではなく、どんな課題を見ているのかです。

話を聞いていると、こういう機能をつけようなど手段の話ばかりをしていたので、じゃあ実際その手段は誰が使うのか、それを使って顧客は何をしたいのかという顧客視点に気づいて欲しかったので、問いを投げ続けていましたね。結果それによって大きく変わっていきました。


秋山:いわゆる顧客視点大事ですよね。


田所氏:B-SKETはSaaSスタートアップを対象にしていますが、SaaSに関係なく、全ての成功している企業に言えるのが、自分たちの中でのカスタマーサクセスを定義することがPMFの第一歩であるということです。

それを執拗にやり続けるのが大事で、さらにその定義したものを元に行動原理やオペレーションまで落とし込んでいく必要がある。ここがズレるとメンバーの視点がズレてしまい、マイクロマネジメントしないと適切な方向にメンバーが動いてくれないという状態になり、仕組み化が難しくなるなと思っています。

メンタリングする時もそこは意識していて、ズレを感じたら問いを投げて調整していくというのをやっています。

言われたことにスピーディーに対応することが事業成長に比例する

秋山:ここまでやっている中で、印象深い会社はどこですか?


田所氏ガラパゴスですね。代表だけではなくCTOやCOOなどの経営陣も熱心にメンタリングやセッションで言ったことに徹底的に取り組んでいました。彼ら自身、成長したいという思いと覚悟があったんだろうなと思います。


秋山:ガラパゴスは僕にとっても印象的ですね。自ら考えて行動できる人たちが集まっていて、そうでありながら素直に言われたことをきっちりとやる。その両方を持っているのでとても強いなと思っていました。


田所氏:彼らが採択されて初めてのセッションの時はそうでもなかったですが(笑)ガラパゴスの代表・中平さんは最初すごい尖った感じで僕を見ていたんですよ。


秋山:そうなんですね(笑)


田所氏:それを感じ取って「こっちもギアを上げていこう」と思って、本質的な問いを投げ続けたら、その後すごい素直になってくれたのを覚えています。”信頼は与えられるものではなく、自分で勝ち取るもの"だと改めて思いましたね。


秋山:ナイスフレーズ出ましたね。


田所氏:今過去の採択企業を振り返ると、改めて言われたことに対してスピーディーに対応してきたかどうかが、事業が成長しているかどうかに比例するなと思います。第4回目のB-SKETのDemo Day(最終成果発表会)で優勝したパートナーサクセスもそうでした。

渇望感が起業につながる

秋山:最近は日本でも起業家が増えてきましたよね。良い流れだなと思うのが、世間一般で言われる高学歴の人が起業という選択を取るようになり始めたということ。これはとても良い選択だなと思いますし、様々なマーケットに優秀な人が解決に勤しむことで問題解決のスピードは上がります。

また、成功するか失敗するかは置いておいて、その挑戦をしたということだけで十分セカンドキャリアにつながりますしね。


田所氏:しかも最近ではそういう人が失敗した後に、積極的に企業がオファーを出してますしね。


秋山:企業としてもそういうチャレンジをした人を採用したいですもんね。とはいえ、まだまだ起業家は少ないなと思っています。それは何故なんでしょう。教育の影響なのでしょうか?


田所氏:今の生活に満ち足りていて、渇望感がないからじゃないでしょうか。渇望感があるから何かを自分で考え、自分から行動するようになる、そうなると企画を自ら考えたり、起業をするようになると僕は思うのですが、今の日本だと日々満ち足りているので、それが少ないような気がしています。


秋山:渇望感・・・そういう何かを自分で考え、自分で行動できる人が増えると日本はより良くなるんでしょうね。B-SKETがその一役を担えると良いですね。

黎明期の出会いはかけがえのないものになる

秋山:ここまでB-SKETプログラムのことや起業家について話をしてきましたが、B-SKETで田所さん自身に変化はあったのですか?


田所氏:ありましたね。実はB-SKETが「起業大全」を書くきっかけになっています。僕はB-SKETを開催することは目的ではなく、これを通じていかに産業を作るのか、市場を作るのかというのを意識してきました。

そして起業大全の前に書いた「起業の科学」はPMFに向けたメッセージが強いのですが、PMFがゴールではなく、PMFした上で、産業を作ることが大事だと思っています。産業を作るには人やマーケティング、事業戦略など様々な要素が必要で、そのことに気がつけたのがB-SKETで、それを言語化したのが起業大全なんですよ。


秋山:B-SKETを始めた頃は起業の科学をちょうど書いている時でしたね。


田所氏:ちなみに秋山さんはなんでB-SKETやりたいと思ったんですか?


秋山:僕が起業するときには、メンターというものがいなかったんですよね。メンターがいる意味や重要性を知らずに起業して、事業を進めていました。今振り返るとメンターがいたらまた見える景色が違ったのかなと思っていて、そう思った以上は、それを形にしたいなという思いでB-SKETをやっていますね。つまり自分の失敗経験からですね。


田所氏:B-SKETはすでに事業で成功しているメンターがたくさんいますもんね。そういう自分を高めてくれる人という観点でいうと、B-SKETは同期がいるというのも良いですよね。経営者同士で愚痴をこぼしたくなる時もあるでしょうし、社内では共有できないような課題を相談したりできる。SaaSスタートアップという共通項もあるので、課題の理解もしやすく、話し合いが進みますね。


秋山:同期がいることの魅力は第4回参加企業Engoの藤井さんも言っていましたね。同期がいることは半分狙っていたところもありますが、それ以上に価値になっているなという印象があります。何でもそうですが、黎明期の出会いはかけがえのないものになると思っていて、B-SKETの同期はまさにそんな感じかなと思っています。

B-SKETの価値は「再確認ができること」

田所氏:どういうスタートアップがB-SKETに向いていますかね?


秋山:大前提としてチームであることが大事かなと思っています。代表がいてその他はメンバーという構造ではなくて、CXOがいること。

僕はB-SKETの価値は”再確認ができること”だと思っています。自分たちのやることがこうなんです、と決まっていて、プログラムを通じてそれが正しいと認識できれば自信を持って進めるし、違ったのであれば修正できる。

人は、戻れる場所、起点になる場所が正しく設定されていると「今からこれをやるんだ、この先の苦労はしょうがない、やると決めたんだ」と思って強く突き進んでいけると思っています。

もしその起点になる場所、つまり根っこになるものが揺らぐといろんな壁を乗り越えるときに怖いんですよ。本当にこれだったのかなと疑い始める。なのでチームとなっていることが大事かと。トップが1人いて、あとはメンバーレイヤーだとあまりプログラムが活かされないかなと思っています。プログラムで聞いた情報が単なるトップダウンになってしまうので。


田所氏:それは大事ですね。社長は日々意思決定を繰り返すので、成長し続けるんですよね。でもスタートアップの場合はNo.2、No.3の問題があり、どうしても社長の独断というか、一人のバイアスかかった状態で進んでいくとどうしても勝てなくなってしまう。なのでチーム全体で勝ちに行こうというのは必要かもしれませんね。

逆に合わない人として挙げられるのが、エゴが強い人かなと思っています。承認欲求があって起業家として成り上がりたいという気持ちがあるのは問題ないが、そんなことはゆうに超えていて、自己実現よりも産業を変えるということを本気で考えている人はB-SKETに合うと思いますし、そういう人に来て欲しいなと僕は思います。


秋山:チームと産業を本当に変えていきたいという思いですね。


田所:やはり伸びているスタートアップは、その産業や領域にいたことが長くて、このやり方は効率が悪いという思いが強く、自分たちだったらどうするかという発想ができている、イノベーションのジレンマを突く発想がある人が多い。


秋山:原体験はとんでもない力を発揮しますよね。力というものはプラスもマイナスも力となる。それが大きいほど跳ね返りも大きいしダメージも大きい。深い原体験というのはある種トラウマというものになりかねないですが、もうこんな思いしたくないであったり、こんなことを経験するのは自分だけで終わらせたいということに繋がるなと感じています。

先ほど田所さんが言っていた満たされているという状態であれば、力が生まれないんですよね。気がつけないし、失うリスクが高いから力を注げない。現状に満足しているのに、今あるものを投資してといってもしないですよね。


田所氏:原体験があった方がグリット、内発的動機でやり切る力は相対的に高くなると思いますね。


秋山:それに原体験がある方が社会から応援されやすいですしね。有名になりたい、お金持ちになりたいと起業するのも良いですが、それだと自分より優秀な人は集められないですね。


田所氏:本当にそうですよね。いろいろとお話ししましたが、今後もB-SKETで新たなスタートアップと出会えるのが楽しみです。チーム一丸となって、本気で産業を変えたい。そのための覚悟を持った人にぜひ来て欲しいですね。



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鈴木 諒

鈴木 諒

2016年に新卒でベーシックに入社、同年より人事部にて採用に携り、新卒採用の戦略設計から実行、入社後の教育、研修までを一貫して担う。その傍ら、2019年3月より社内報グループに参画し、自ら記事の執筆・編集を行う。 6月より広報グループへと異動し、採用広報、広報を担当。社内報「b-ridge」の編集長を務める。Twitter:@chorururyo